あたか農園だより
No.100
2009.1.29
人参が輝く時
 年が明けて、金時人参から洋人参へ交代です。
 正月明けから2月の終わりまで、ほぼ毎日収穫作業が続きます。畑で堀上げ、葉を切り落とし、作業場に持ち帰って洗い、販売先ごとに仕分けて出荷と、しばらくはこの繰り返しです。
 洗うと綺麗になっていい色ですが、人参がいちばん輝いて見えるのは、畑で引き抜いた直後です。少し土が付いていてもほど良い潤いを持った人参は見事な色を見せてくれます。すぐに乾いて白っぽくなってしまいますからほんのわずかな瞬間ですが、ほんとうに甘くて美味しい人参だろうなあ、と思えてしまうひと時です。
 あたか農園の美味しくて、
あま〜い人参は今年も健在ですよ〜。
戸別所得補償
 今度の政権は、子供手当など国民に直接現金を渡すのが好きなようです。 
 農業では、戸別所得補償制度を導入するということで、米の生産調整に協力する農家を対象に10アール当り1万5千円をくれるという。
 農水大臣談話によるとその目的は「@自給率の向上A農業と地域の再生B農山漁村の人々が将来に明るい展望を持って生きていける環境をつくり」だそうです。
 農家に難しいことは分りませんが、直感的にこの壮大な目的に僅かほどでも役立つとはとても思えないのは私だけでしょうか?
 子供に勉強して学力を上げてほしいと思った時に、ただお小遣いを与えて、「これで勉強の足しにしなさい。」というのは、考えることを放棄した最悪のやり方でしょう。お金の使い方によってはその子の未来も潰しかねないのです。せめて子供が勉強に集中出来るような環境整えてやったり、また、そのことにお金を使うべきです。
 作物の中でも米はもっとも保護を受けてきたといっていいでしょう。その米がもっとも元気がない現実は、甘やかして育ててまともに育つはずがないという、どんな世界(野菜、こども、政策)でも共通する教訓ではないかという気がします。
 先日、あるシンポジュウムで講師が今度の政権交代で産業政策から社会政策に大きく変わったと話されていたのが印象的でした。そういえば「生活が第一」というキャッチフレーズがありましたね。
 もっとも、今までのが産業政策なら、いろいろなひずみが出ていたことは確かでしょうが、だからといってバラまきばかりでもどうなんでしょう?
 金をばらまく一方で、人件費はおろか原材料費もどこに行ったんだと思えるようなデフレ社会は放置されたまま。生産することも働くことも助け合うことも軽視される社会の先には輝く未来があるとは思えないのですがねぇ。

 もちろん、市場でホウレンソウを1束10円でせり落とされても何の補助もない野菜農家のひがみではありませんよ。けっして・・・

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