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No.123 2011.12.31 |
金時人参超不作 |
歳末一週間が勝負の金時人参、今年は超不作でした。 収穫風景ではよく分からないかもしれませんが、比較写真で一目瞭然のように、今年は右のM、Sサイズがほとんど。例年だと大きな割合を占める左のようなLサイズは何十本かにひとつ有るか無いかという状態でした。 大きな原因は、蒔き直しで種蒔きが遅くなったこと。さらに雨が多く葉に病気が入って生育が抑えられて追い打ちをかけられました。収穫風景をよく見てもらうと、葉の色が全体に黄色いのが分かると思います。 この状況は近くの農家も、他の産地も同じようで、青果市場への入荷量は大幅減になっていたようです。そのせいで価格は近年にない高い価格で販売できました。 大まかに言えば、価格が倍でも、収量は半分、消費者には迷惑をかけて申し訳なく何とも複雑な心境です。 |
身の丈に合った社会 |
今年は東北大震災というかって無い大災害に見舞われた悲劇の年になってしまいました。巨大津波の凄まじさ、原発事故の底知れない恐怖、ほとんどの人が衝撃を受け、いろんなことを考えさせられたと思います。 防災のことはもちろん、人としての生き方、世の中のあり方もあらためて見つめ直した人も多いのではないでしょうか。 果たして今までのような社会でいいのか?というのは我々に今回突き付けられた大きな課題だという気がします。 農業をしていると、その時の自然から与えられる恩恵や生産出来る範囲内のものしか享受出来ない事を常に思い知らされます。当然他産業に比べ効率は悪くなります。農業だけでなく、一次産業という自然に近ければ近い産業ほどそれは当然かもしれません。 今の経済社会の先頭を走る大企業など他産業からは非効率農業は改革を怠っていると非難されます。たしかにそういう一面はあるかもしれません。 しかし、彼らはその恩恵に対する正当なコストを払らってきたのかと考えれば、とてもそうは思えません。過去の資源を食いつぶしただけでは飽き足らず、未来にまで借金して享受している今の繁栄は、日々自然と向き合う農業者からすると、今さえよければ過去も未来も知ったことか、うまい汁だけは吸っておこうという身勝手な姿にも見えます。 原発事故が起こった時の気が遠くなるような被害の大きさと深刻さはいうに及ばす、事故が起こらないでも使用が終わった後の核燃料の処理の困難さ。そのコストを見ぬふりをして推し進めた原子力政策はそういった近代社会の身勝手さと危うさを象徴しているように思います。 一度手にした豊さと便利さを我慢するのはなかなか難しいとは思いますが、「人間の身の丈に合った社会のあり様にもう一度考え直せ、でないと手遅れになるぞ。」という自然の警告の様な気がしてなりません。 |
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