No.61
2006.10.15
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連日水掛け
台風13号の痛手も何とか持ち直してしてきたと思ったら、今度は干ばつです。
台風からこっち雨らしい雨はふっていませんから、もうすぐ一ヶ月になります。
毎日、水撒き作業に追われています。
スプリンクラーが回るだけだから楽だろう、と思われるかもしれませんが、これが意外と体力を使うのです。
ゴミが詰まったりして止まると畑の端から全力疾走、けっこうアスリートしているのです。
再生産価格
ちょっと涼しくなってきて、直売所も農産物が増えて朝の出荷時が賑わってきました。
ただ、全体量が増えると一人ひとりの売れは落ちてきます。そこで、何とか人より多く売りたいという心理からでしょうか、値段を下げたり、一袋の量を増やしたりする生産者が出てきます。先日も、朝並べていたら、となりのケースの小松菜がやたら多いので量ったら450gもありました。通常、市場出荷なら200gから250g。他の出荷者の二袋分です。
本人に尋ねると、「売れんで持って帰るのが嫌だから・・・」という答でした。
もちろん、消費者に出来るだけ低い価格で提供する努力はしなければいけませんが、野菜を生産するのに掛かる最低限の費用というものはあります。種代、肥料代、資材代はもちろん、農業を続ける為の施設や設備の費用などです。そして一番忘れてはいけないのが人件費で、これが無いと給料が無いということですから、生活がなりたちません。
上記の生産者が経営努力でこの費用を圧縮できているのなら問題は無いのですが、話していても「自分の手間はタダだから」とか「とにかく売れて畑が空かんと・・・」というふうで、ほとんど考えていないようです。
よく考えれは、100円で売っても、二袋分ですから一袋50円、それから手数料、資材代など引くと30円くらいで売っているようなもの。人件費どころか直接費用もはるかに割り込んでいることに気づいているふうでもありません。
人が良いといえばそうですが、結局は回りも巻き込んで、継続、安定して消費者にお届けできる基盤も危うくしていることになります。
ガソリンスタンドが採算度外視の安売り競争に走って、何軒も潰れたのはよく目にしたところです。ガゾリンは店が潰れても生産は外国なので直接影響しませんが、野菜の場合は直接農家の生産に響きます。
消費者の方には、地元の新鮮な作物を将来にわたってお届けし、それを維持していくには、次の生産を可能にするある程度適正な価格が必要なことを理解してほしいと思います。
よく、品薄の時に価格を上げることがあります。「便乗値上げで暴利をむさぼってけしからん!」と思われるかもしれませんが、そういう時は、悪天候で作柄が悪く、量も採れず、出荷作業も困難な場合が多く、値上げ分以上に手間と費用が掛かっていることがほとんどでであることも分かってほしいと思います。

10月の畑はさわやかな風の中で作物が若々しく育ついい季節です。 10月15日