あたか農園だより
No.78
2008.3.21
キツイ儲からない幸せ
 草取りをしている両親です。
父が87歳、母が84歳。もちろん、足取りも心配ですし、物忘れも気にはなりますが、野菜の出荷の手伝いをしたり、少し陽気の良い日にはこうして畑で草取りをしたりしてくれます。
 こうやって仕事をしている方がむしろ調子が良いようで、若い時からの農作業が体に染み付いているようです。
 たしかに、今の農園の基盤を築いてくれた両親が若い頃からよく働いている姿は子供心にも記憶に残っています。
  今のように機械化しているわけではなく朝早くから夜遅くまで、それこそ朝星夜星で真っ黒になりながら汗を流して働いて、いつ寝ているんだろう?と思ったくらいです。
 こんなにキツい農業は割に合わない職業だなと思ったこともあります。父は腰が曲がり、母は膝を悪くして正座も出来無いのは長い間の農作業のせいかもしれません。
 でも、父や母より若く、しかもゆとりある生活をされてきたようなお年寄りでも足腰が弱って介助なしに動けなかったり、寝たきりになったという話を聞くと、若い時から体を動かし働き続けてきたからこそ今の父と母の元気があるような気もします。
 「人間の体は使わなければ退化する。」とか、楽をすることは必ずしも良い事ではないようです。
 またある時、父が、「こうして仕事があって少しでも若い者の役に立てる俺たちは幸せやのう。」と母に言ったそうです。農家は百姓というくらいいろんな作業があるから子どもから年寄りまで何かしら手伝えるし役に立つことが出来ます。
 そう考えるとキツく儲からない農業は働くことの喜びや生きる意味を再認識させてくれる職業かもしれません。
 そうだ!働く必要もなくのんびり暮らす人生が必ずしも幸せとはいえない。
 日頃から、「貧乏で年中忙しさに追われてばかりいる。」と責める妻へ持って来いの反論でしたが、
「働くといっても体使わずトラクターや軽トラに乗ってばかりで、お義父さんやお義母さんの歳まで元気で生きられると思ってんの!」
一喝されてチョン。 

次の便り
前の便り
便り一覧